イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

この本の出版後、イノベーションという言葉が流行したとか。

本
イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

数年ほど前からネットで盛んに取り上げられていた本。
名著も名著で、経営を志す人達の間では常識となっているらしい。

前々から興味はあったこの本を、今更ながらようやく手にして読んでみた。
意外に分かりやすく書かれていて、内容を理解できるか心配していたのもなんのその、ほほぉと感心しながら堪能。
技術革新に直面した企業を分析しており、経営者のみならず技術者にも為になる話が多い。

ネットで検索すれば内容をまとめたサイトは見つかるけれど、頭の整理も兼ねて自分なりにまとめてみる。
異常に長くなってしまったのはご愛嬌。

導入

業界をリードしていた企業、それも顧客の意見に耳を傾け、新技術に積極的に投資しつづける優良な企業が、ある種の市場や技術の変化に直面したとき、その地位を失ってしまうのはなぜか?
この本ではその理由を解明する。

持続的技術と破壊的技術

持続的技術とは、従来の価値基準の中で製品の性能を高めるもの。新技術のほとんどがこれで、例えばハードディスクドライブの記憶容量の増加がそう。

一方破壊的技術とは、短期的には製品の性能を引き下げてしまうが、従来とは異なる価値基準を市場にもたらす。例えばハードディスクドライブの小型化がそう(欠点として一時的に記憶容量は減少する)。
欠点のため初期は既存の顧客に見向きもされないが、やがて性能が十分に高まると新しい価値でもって顧客を引き寄せ、従来の技術を駆逐する。

この破壊的技術によって優良企業がその優位を失ってしまう。なぜなら優良企業であるほど、破壊的技術に対応するのが難しいからだ。

なぜ安定した企業は破壊的技術への投資をためらうのか

・ 破壊的製品の方がシンプルで低価格、利益率が低い
・ 破壊的技術が最初に商品化されるのは、新しい市場や小規模な市場である
・ 大手企業にとって最も収益性の高い顧客は、破壊的技術を利用した製品を求めない

次項のバリューネットワークの概念により、これらの破壊的技術の特徴が優良企業を苦しめる理由を示す事ができる。

バリューネットワーク

企業はこの枠組みのなかで顧客のニーズを認識し、対応し、問題を解決し、資源を調達し、競争相手に対抗し、利潤を追求する。
企業の立場が変わればバリューネットワークも変化し、その結果として企業のふるまいも変わる。

例えばある優良企業のバリューネットワークでは、ある利益率が求められる。そのためその利益率に貢献しない技術が採用されることはなく、
採用されたとしても限られた資源しか割り当てられない。莫大な利益を生み出す優良企業であるほど、プロジェクトの利益の大きさにシビアになる。

つまり期待する利益のために、資源を持続的イノベーションに投下し、破壊的イノベーションには与えない。よって後々敗者となる。
市場規模が小さく顧客の需要もはっきりしない破壊的技術より、企業にとって有力な顧客の需要に応える持続的プロジェクトが優先されるのは、仕方のないことのように思える。

破壊的イノベーションへの対応

優秀な経営者達は当然ながらこのジレンマに気づき破壊的技術への対応を図るが、成功する経営者と失敗する経営者が現れる。
成功した経営者はどうやって対応したか。

1 破壊的技術を開発するプロジェクトを、それを必要とする顧客を持ち、小さな勝利も評価される小さな組織に割り当てた
2 主流組織のプロセスや価値基準は利用せず、破壊的技術に適した価値基準やコスト構造を持たせた
3 破壊的技術の市場を探る過程で、失敗を早い段階にわずかな犠牲でとどめるよう計画を立てた
4 破壊的技術を商品化する際は、破壊的製品の特徴が評価される新しい市場を見つけるか、開拓した

個人的に特に興味深かった1について詳しく説明する。

破壊的技術の初期では大きな利益が見込めないため、主流企業の中ではそのプロジェクトに関わる社員のモチベーションを保つことが難しい。

これは例えば1億の利益をあげるプロジェクトがあったとして、ある小さな企業においては会社全体の利益率に貢献できたとしても、
ある他の大企業においてはそれは全体のごく一部であり、会社に貢献できていない社員として肩身の狭い思いをする、という例が分かりやすいと思う。

その問題の対策として小さな会社を作り、破壊的技術を開発させるのである。
結果として破壊的技術が成功し主流企業の技術を圧倒したら、その子会社を主流企業の中心に据えればよい。ということ。




まとまってない気もするけど、以上がまとめ。若干の主観も入っているので、興味が沸いたら本を読んでみることをオススメします。

以下、個人的に興味を引いたところをそのまま引用する。

組織の構造と、組織を構成するグループは、その組織の主要製品を設計しやすいように作られているかもしれず、因果関係の方向が逆転することもありえる。

ほとんどのイノベーション案はトップではなく組織の深い場所から生まれているとしている。底辺からこのようなアイデアがわいて出た場合、プロジェクトのふるい分けにあたっては、組織の中間管理職が、目に見えない重要な役割を果たす。

人々にとってプロジェクトが意味を持つのは、それが重要な顧客のニーズに応え、そのプロジェクトに参加する事が、有能な社員の昇格の可能性を高める場合である。

同じ能力を持つと思われる二つのグループを、異なる組織で働かせてみると、仕事の完成度が大きく異なることが多い。
これは、組織で働く人材やその他の資源に関係なく、組織自体の能力というものがあるからだ。

組織の最も基本的な能力は、プロセスと価値基準にある。プロセスと価値基準は、どのように資源を組み合わせて価値を生み出すかを決めるものであり、資源の多くは、購入や売却、雇用や解雇ができるものである。

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